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~女ひとりでインド・ネパール旅~

中世の街並みそのままに...美しすぎるよジャイサルメール ~そして難しいな人間関係~

2017/12/27 ジャイサルメール(Jaisalmer) India
 
朝、Bさんがチャイを振舞ってくれると言う。
昨日から気前が良すぎるのが少し不安な私は、無料なのか一応聞いてみた。
 
すると、
「何言っているの!もちろん無料だよー!クミは僕のトモダチだよー!」
と親しげに私の肩を掴んで抱き寄せる。
 
うん、わかったわかった!わかったよ...。
私も強引に、彼の腕を振りほどく。
 
肩抱かれるくらいね...別にいいと言えばいいんだけど。
これがこの国の文化ならば全く気にならないのだと思う。
だけど、インドって「女性に気安く触れてはいけない国」じゃないのかな。
街では、顔を布で隠している女性もしばしば見かけるくらいだ。
私も「郷に入っては郷に従え」の精神で、暑い日でも足の出ない服装で過ごしているよ。
 
そんな国だから...過剰なスキンシップは「異常」に感じてしまう。
 
何故か、この後一緒に寺院を見に行く事になっていた。
そんな約束は、した覚えがないのだけど...。
ひとりで気ままにプラプラしたい私は、挨拶をして一人で出かける。
ボランティアのマレーシア人女性は、笑顔で快く送り出してくれたのだけど、Bさんはなんだか寂しそうな表情だった。
 
ごめんね。だけど私のペースもわかってね。
 
今のところ私は、Bさんに心を許せない。
私と彼の間には、厚い厚い壁ができてしまっている。
 
この町を去る頃には、この壁が取り払われて親しくなっているのだろうか。
 
「最初はとっても警戒していたけれど、いつの間にかBさんが大好きになっていました」
などとレポートする日が来るのだろうか。
最後は涙のお別れとなって、「いつか必ずここへ戻りたい」という誓いを立てる事になるのだろうか。
 
あぁ、振り替えればそんな事は何度かあった。
 
語学学校で出会ったケニー。
彼との間には、1週間もの間壁があった。
1週間後からは親しくする様になったけど、それも「英語力向上のため」と半ば無理やりだ。
だけど5週間の時を経て、彼は私の大切な「恩師」になった。
 
ヒマラヤで出会ったロン毛のチェコ人ホンザ。
初めて彼に会った時は、「なにこの人...なんかチャラそう。親しくならない様に気を付けよう」と警戒していた。
話しかけられても、とってもわかり易い「愛想笑い」でやり過ごした。
だけど、それから15日後に再会して以来は、私は彼に完全に心を許している。
今では、私の闘争心の「着火剤」的な存在。
 
"急に人と距離を縮められない"
"最初は警戒をしてしまう"
 
これは私の「改善すべき欠点」なのか「上手く付き合っていくべき個性」なのか。
 
 
昨夜に夜景を見たスポットで、朝の城外を眺める。
生まれたばかりの朝の光に照らされる街並みも、とても美しい。
 

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私は、こんな城壁の縁に立っている。
 

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城内で過ごして、朝晩は城壁に立って景色を眺める。
旅行者の身でそんな贅沢な暮らしができる場所って、数少ないんじゃないかな。
 

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すぐ近くのカフェで朝食を食べる。
この美しい朝靄の街並みを眺めながらの朝食なんて...最高だ。
 

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ジャイサルメール...好きすぎる。
 
朝食後、まずは城内の路地を当てもなく彷徨う。
ここの街並みは、とても美しいイスラム建築。
 
西への中継地点として栄えたこのジャイサルメール
交易の中心が「海路」へ移っていったのをきっかけに徐々に衰退してゆき、
その後のパキスタンとの分離独立が決定打となって完全に取り残されてしまった。
それゆえに、中世の美しい街並みがそのまま残っているのだとか。
 
イスラム教徒はパキスタンに住んでいて、この町との交友はほぼない。
だから、この美しいイスラム建築がこれ以上増築されることはないのだ。
守ってゆくべき、大切な美しい街並み。
 

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いや~それにしても、デリーやバラナシと比べれば全く汚いスペースがない。
建物もとても綺麗だし、同じ国とは思えない。
 
ジャイサルメール...美しすぎる。
 
この町でも私は、色々な人に声をかけられる。
そして無視はせずに挨拶を返してみたり、少しだけ話してみたりする。
そんな一瞬の「交流」が楽しすぎる。
 
レストランの前で、男に声をかけられる。
「レストランの屋上から、景色が綺麗に見えるよ」と。
 
「だけどお腹いっぱいだよ、ごめんね」と答えると、「何も注文しなくていいから」との事。
 
ちょっと立ち寄るくらい構わないかと思い、屋上に上がる。
そこからは、フォート・パレス(ジャイサルメールの統治者が代々住んでいた居城)がよく見えた。
 

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そうしたら、「ここに座りなよ」と促される。
 
ここで座ってしまったのが、私の失敗だ。
 
彼は私に、もの凄い勢いで話しかけてくる。
ペラペラペラペラと...。
これはコミュニケーションじゃないからね。
一方的に、彼の言いたい事を聞いているだけ。
 
"異文化交流が、いかに素晴らしい事か"
"だからこの出会いは、とても素晴らしいものだ"
"僕は今日の出会いにとても感謝をしている"
 
"タージマハルの歴史について...うんたらかんたら"
"素晴らしいサファリツアーを斡旋する事もできる"
"見て見て、この写真。素晴らしいよね。近いから、行ってみるといいよ"
 
あとね、初対面で「自分は怪しい人間ではない」と熱心に訴えてくる人は、逆に怪しいよね。
 
最初は、「英語の練習」になるかなと思ったんだけど。
だけど退屈過ぎて、途中から聞くのをやめてしまった。
そうしたら、私が理解できていないと思って「翻訳機」を活用しだした。
いや...聞く気ないだけだから。
 
始業式で校長先生のツマラナイ話を永遠と聞かされている生徒の気分。
 
退屈過ぎる...。
つまらない...。
辛すぎる...。
 
あぁ、私はこんな得体のしれない男の「演説」よりも、ケニーの愛ある熱い「お説教」が聞きたいよ。
 
食事をしたいらしいカップルの来店をきっかけに、私はそそくさと退散をする。
あぁ、ようやく解放された。
 
再び路地を彷徨う。
今どこにいるのか...どこへ向かっているのか...。
土地勘がなさすぎるし、位置関係の把握が難しすぎる。
 
すると、ある男が声を掛けて来た。
もうすれ違い終わった後だったし、わざわざ振り返るほど私は優しくない。
...と思ったのだけど、何やら「重要な事」を私に伝えようとしている様な気配がしたので、わざわざ戻ってみる。
 
すると、「あのガイはプレイボーイだから気を付けて」と真剣な眼差しで訴えてきた。
 
あの"ガイ"?誰の事だろう??
Bさんの事かな...?いやだけど"ガイ"って若い男の事だよね?え?ガイって何歳までの人を言うの??
 
流石に私の倍以上は生きていそうなBさんが"ガイ"って事はないだろう...とすると、さっきのレストランの男か。
いやだけど、彼と外で話していたのは一瞬だし、ここからは離れているはず...彼と話していた姿を見ていた可能性って低くない??
えー、なんの話だろう。。。
 
あぁ、あの男の名前なんだっけ。確か...
 
私「それって、アヴィの事?」
 
彼「そうだよ!彼はプレイボーイだから気を付けて」
 
私「え...何で話してたの知ってるの?見てたの??笑」
 
彼「うん、そっちの道を通るとまた奴に捉まるから、こっちの道から行った方がいいよ」
 
ありがとう...忠告通りそっちの道へ行く。
だけどアヴィのレストランはね...私の宿の2つ隣だから、今避けたっていつか絶対に会うよね。
 
私は...何だか可笑しかった。
そうか、彼はプレイボーイだったのか。笑
 
怒りも感じなければ、恐怖心も感じない。不思議な事に。
何故だか笑いが込み上げてくる。
 
彼の熱心な演説の目的が、こんな所で露わになるなんて。
なんだろうな...時と場所が変わったのに、話が繋がっている感じが面白い。
町の人々の話を聞いて...さっきのあれはこういう事かと判明するなんて。ちょっとRPGみたいだよね。
 
2つ隣の建物にプレイボーイが住んでいる事が判明したところで、今度は城外を散策しに出る。
 

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私は今朝、あの縁のどこかに立って景色を眺めていたんだな。
なんだか凄い事の様な感じがする。
 

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お城の外は、クラクションの鳴り響く賑やかな場所だった。
 

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だけど少し路地の方へ入ると、すぐに静かな環境が戻ってくる。
 

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お城の外も、「ゴールデンシティ」の異名に相応しい、美しい色合いの街並み。
 
そうそう、さらっと流してしまうところだった。
 
ここジャイサルメールは、「ゴールデンシティ」と呼ばれている。
昨日まで滞在していたジョードプル「ブルーシティ」
3年前に訪れたジャイプル「ピンクシティ」
 
ブルーシティは無理矢理な感じがあった。
ピンクシティはツアーで見どころをピンポイントで巡っただけだから、町全体がピンクなのかどうかは知らない。
 
だけどこの「ゴールデンシティ」は、その異名を堂々と名乗って良い町なんじゃないかな。
 
少し行くと、「ハヴェーリー」に着く。
美しい建築の街並みの中でも、一段と豪華で美しいのがこの「ハヴェーリー」と呼ばれるもの。
ここには、貴族が住んでいる(住んでいた)。
ハヴェーリーは、町中にいくつかあって、場所によっては中の見学もできる。
 

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ここの近くの路面店で、ラクダのTシャツを150ルピー(270円)で購入。
キャメルサファリに着ていこう...♪
 
それから坂道をどんどんと登っていく。
地図アプリに「ビュースポット」のマークを見つけたので目指してみる事にしたのだ。
 
登り切ると、少年たちが凧揚げをしていた。
私にも凧を渡してくれたのだけど、下手過ぎてダメだった見たいで、すぐに取り上げられてしまった...苦笑
 
ここからは、ジャイサルメールと街並みが一望できる。
 

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ここも...時計台やMr.4の愛犬ラッスーは無いけれど、アラバスタ王国の様に見える。
 

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素晴らしい場所だよ、ゴールデンシティー「ジャイサルメール」。
 
反対側には、寺院群の様なものも見える。
 

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砂漠の中に突如出現した町、ジャイサルメール
あぁ、あの砂漠の向こう側に行くのも、楽しみで仕方がない。
 
一旦宿に戻る。
 
夜8:00頃、Bさんに呼ばれたので出ていってみる。
 
「一緒に飲もう」と、ビールが準備されていた。
 
昨日はウェルカムドリンクとして受け入れたけど...この調子で毎晩飲むことになるのは困る。
 
いや、こういうのを楽しめる日本人もたくさんいると思うんだよ。
毎晩毎晩、宿のオーナーと晩酌をしながら語りあうなんて...とっても素敵な体験だと思うよ。
 
だけど昨夜と今朝の、(私的には)過剰と思えるスキンシップを受けて、私の警戒心は上昇している。
そんな相手と楽しく晩酌なんてね、できないよ。
私は日本でだって、「信頼できる人」としか飲まない主義なんだ。
 
ストレートに、「私はビールが嫌いです」と伝える。
すると、「少しくらいいいじゃないか」と譲らないBさん。
何だよ。それは日本では「アルハラ」と呼ばれているやつだよ?
 
「一人で飲むなんて寂しいじゃないか、とりあえず座れよ」と言うので、とりあえず座る。
 
「私はビールが嫌い」と、もう一度言ってみる。
Bさんは、何故かそれを理解してくれない。
 
「お願いだから、強要しないで欲しい」と、切実に訴える。
「強要なんてしていないよ」と返される。
 
彼は、ジョッキ一杯のビールを注ぐ。
それは私の分を注いでくれたのかなと思い「多すぎるよ!少しでいいよ!」と言う。
 
すると彼は、もう一つのジョッキを私の前に置く。
あぁ、自分の飲める量だけ自分で注げという意味かなと思い、ジョッキに4分の1だけ注ぐ。
 
すると、Bさんは突然怒り出す。
どうやら、お互いにビールの注ぎ合いをする事を望んでいたようだ。
つまり、私はBさんの分を注がなければいけなかったのだ。
 
「それが日本の文化でしょ!?」
「日本を離れて長いから、忘れてしまったの!?」
 
いや...それは合っているような間違っているような。。。
 
Bさんの分を注ぎ直し、乾杯をして1口だけ口をつける。
これ以上は、絶対に飲むもんか。
 
「シャングリラを作る事もできるよ。美味しいよ」と言われる。
「ワインは嫌い」と答える。(本当はシャングリラ好きだけど)
 
「じゃあ、何が好きなの?」と聞かれる。
「私はソフトドリンクしか飲まない」と答える。(本当はそんな事ないけど)
 
昨日は、とても話が弾んだ私たち。
 
「今日はどうしたの?大人しいね」
「思っている事があるなら、遠慮せずに言ってごらん」
 
他の道端のインド人にそうして来たように、彼を蔑ろにする事もできる。
新たな快適空間を求めて、この宿を早々に離れるという選択肢もある。
 
だけど、何となくそれはしたくないなという気持ちでいる。
 
だって、久々の日本人の来訪を喜んでくれているだけなんだもんね。
私にそれを受け止めきれるだけの度量がないだけだ。
 
だから私は、正直に彼と向き合う事にした。
 
私は人と親しくなるのに時間がかかるという事、ゆっくりと時間をかけて関係を作りたい人間だという事を伝える。
 
そうしたら、「Me,too ! Me,too !」と共感される。
いや...全然「too」じゃないから困っているんじゃないか。
 
「あなたは私のペースを全く理解していない」と、ストレートに伝える。
 
最後には、「言ってくれてありがとう」と言われたけれど。
 
「友人にメッセージを送りたいから、またね」と言って、強引に部屋に戻る。
そんな予定などないのだけど。
 
そして間もなく、逃げる様に外へ夕食を食べに出る。
 
「フリー・チベットという、チベット料理のお店に入る。
心が疲れているときは、チベット料理に癒してもらうに限る。
 
屋上のテラス席に座る。
すぐに満席になったので、私がオーダーを終えて間もなく相席客がやって来る。
 
どうしよう...会話しなくちゃいけない流れだ。
 
ぽつりぽつりと、当たり障りのない会話を交わす。
だけどその内に、だんだんと会話が弾んでくる。
食事が終っても話続け、気が付けば2時間余りが経過していた。
 
彼が何人なのかを...私は言えない。
「生まれはドイツで、現住所は中国」という事だけが真実。
 
彼はハーフで、そして多くの国で暮らした経験がある。
彼のアイデンティティはどこの国なのか尋ねてみたけれど、そんなものはないみたいだ。
 
最初に出身を聞いたら、「中国」って答えたくらいだからね。
どう見ても中国人には見えないのに。
ヒマラヤで出会ったニュージーランド在住のチェコ人は、2人とも「チェコ」と答えたのに。
ニュージーランド」とは言わなかったのに。
 
私は、彼の気持ちがなんとなくわかる。
私も、日本国内でする出身地の話がとても苦手。
できれば、「どこ出身?」って聞かれたくない。
だって必ず「北海道のどこ?」って聞かれるんだもん。
それも「札幌」って答えて欲しいんだろうな、という事まで伝わってくる。
私は、「北海道生まれ」としてのアイデンティティはあるけれど、その中の特定の地域に思い入れなんてない。
だから彼も、言うならば「地球人」なのかな。
 
そんな彼は、たくさんの言語を話すことができる。
いま私とは、共通言語の「英語」で会話をしているわけだけど。
そういう人に出会うと、「思考をするときにどの言語を使うのか」が気になってしまう。
尋ねてみたら、「英語」だと答えた。
 
そうなのかー。
 
以前、ケニーにも同じ質問をした事があった。
ケニーも、「英語」だと答えた。
そういえば、ケニーは「ヒンディー語が苦手」とも言っていたな。
同じインド人が聞けば、とても下手糞に聞こえるらしい。(ケニーの自己評価に過ぎないのだけど)
 
英語圏で生まれ育ったわけではないのに、「英語で思考をする」って、どういう感覚なんだろう。
 
彼とは、とても心地よい距離間とペースで会話ができた。
 
出会ったばかりで私の事など何も知らないのに、手を握りしめて「あなたに出会えて幸せです」と、熱いまなざしを向けてくることなんてしない。
 
「普通に」世間話をする。
お互いの話と、旅の話で会話が弾む。
 
そうそう。出会った初日の「普通の会話」って、こういうものだよね。
 
「じゃあね、また明日!」と言って別れる。
 
...明日?笑
 
私は彼の連絡先も、名前も知らないのだけど。