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ヒマラヤトレッキング20日目 所要時間、最長記録の日(パンガ→ナムチェ)

2017/10/23  パンガ(Phangga)4480m→ナムチェ(Namche)
 
今日は、登りの人が3日かけて通る道を1日で下る。
宿の奥さんは6時間ほどで行けると言っていたけれど、絶対にそれはないな。
 
無理そうなら途中の町でやめるけど、出来れば拠点の町ナムチェまで行きたい。
 
という事で、まだ薄暗い朝6:50頃に出発。
 

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多少のアップダウンはあれど、基本は標高の低いところを目指す。
そんなにつらい道のりではないんじゃないかと思うのだけど。どうだろう。
 
歩き始めて30分ほどで、次の町「マッツェルモ」が見えてきた。
昨日、もう少し頑張ればここに泊まれたんだね。
 

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マッツェルモからは、なだらかな道が続く。
ずっとこんな感じの道のりが続きますように。
 
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そして30分も経たないうちに、次の町が見えてくる。
ロッヂが2件しかない、小さな町。
 

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そしてまた40分ほどで次の町。
地図にも載っていないような、小さな町なんだろうな。
 

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こう頻繁に町があるのは、とても有難い。
果てしない荒野を永遠と歩き続けている時は、一体いつになればたどり着くのかと心細くなる。
 
30分後、大きな町が見えてきた。
ここなら地図に載っているだろうから、ようやく現在地がわかる。
 

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ここは「ドーレ」という町だった。
10分ほど、トイレ&紅茶休憩を取る。
 
ドーレを過ぎると、森林帯に差し掛かる。
ドーレの標高は4200m。森林限界の向こう側に戻ってきたようだ。
 

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だけど歩いているヤクは、高山のモフモフのヤク。
 

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11:30、「ポルツェテンガ」に到着。
ここでまたしても、トイレ&紅茶休憩。
 

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ここからポルツェという町を経由してパンボチェまで行くこともできる。
私がカラ・パタール行きの道中、滞在した町。
 

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そしてこの ポルツェテンガからは、果てしなく登りが続く。
今日は下りメインと思い込んでいたので、こうも登りが続くと気分が落ちる。
 
登っていると、「あそこで終わりかも!」いう期待を何度も裏切られる。
終わりの様に見えて、近づいてみるとまだまだ続いている。
何度も蛇行を繰り返しているうちに、
「私は永遠にこのループから逃れられないのではないだろうか」
という、世にも奇妙な物語の様な錯覚に陥る。
 
辛い。もっと辛い道のりは沢山あったはずだけど、それでも。
 
永遠の様に感じる登り道を歩いて1時間30分後、次の町らしきものが見えてくる。
見えるけど...まだまだ遠そうだ。
 

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15分後、ようやく山頂に到着。「モンラ」という町だ。
 

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ロッヂの少年にナムチェまでの時間を尋ねると、あと3時間だという。
さっき登り始めで出会ったおじちゃんも、あと3時間だと言っていた。
時間が進んでな~い...!
 
だけどこの先は綺麗な真っすぐ道。
こんな感じの道が永遠にナムチェまで続きますようにと願い、先へ進む。
 

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進み始めてすぐに、骨盤がとても痛い事に気づく。
さっきは登りが辛すぎて、それどころじゃなかったんだろうね。
 
着ていたフリースを脱いで、腰に巻いてクッションにする。
すると、とても楽になった。
防寒着はのちのち荷物になるだけと思っていたけど、こんな使い道もあったとは。
早まって捨てなくてよかった。
 
1時間後、緩やかな登りの先に町が見える。
あれはどこの町だろうか。
 

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...と思ったのだけど、私はあの町には行かない様だ。
少し下った先に分岐点があって、ナムチェへの道は更に下りだった。
 
そして、ひたすら下って広い分岐点に出る。
 

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あぁ、ここは見覚えがある。
10日前、ナムチェからテンボチェを目指した日に通った場所。
 
あの時は、右の道へ入っていった。
そして今、左の道から帰ってきた。
 
意気揚々と、元気いっぱいに右の道へ入って行った10日前の私と、
ヘトヘトになりながら、左の道から出てきたあれから10日後の私。
 
10日間、色々な事があったからね。
たぶんだけど、違う私になっているんじゃないかな。
 
そう考えると、なんだか感慨深い。
 
そして、進行方向を左の道へ行く。
ここから先は、一度通った事のある道。
 

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見覚えがあるような、ないような。
そんな気持ちで、歩みを進める。
 
あの仏塔を過ぎたら、ナムチェの街並みが見えてくるはず!
 

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...と思ったのだけど、まだ道は続いていた。
 

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だけど遥か遠くの霧の中にも、仏塔が見える。
きっとあそこがゴールだ。
 
...という期待も、あっさりと裏切られる。
 
道すがら、ネパール人に「ニーハオ」と声をかけられたので、「こんにちは」と返答をする。
(最近は、いつもそうしている)
 
あっ、日本人だった...みたいな空気になる。
 
そして「オマエはツヨイ!」と言われる。
いや「強い」は嬉しいけどね、初対面の人に「オマエ」はいかんですよ。笑
 
「オマエのナマエは!?」と聞かれたので答えると、
「クミサーン!ガンバッテー!」と応援される。
"さん付け″はできるんだね...と思うと、なんだか可笑しい。
 
それにしても、この道はいつまで続くんだろうか。
この舗装された道が「あと少し」感を醸し出しているもんだから、いつまでも辿り着かないのが辛い。
 
それに、前回ナムチェでは宿探しに苦労した思い出があるので、こんな時間から宿を探すのかと思うと憂鬱になる。
 
先ほど永遠の登り道中に会った人にも、「ジャパニーズは強いね」と言われたけど、私は全然強くなんかない。
しっかりと前を見据えて歩いていないもの。身体はフラフラになりながら、心はとても不安定。
 
1度目の仏塔に騙されてから1時間後、霧の中にナムチェの町が見えてきた。
 
こんなに大きな町だったっけ...。
 

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そして目星を付けていた宿「A.D.フレンドシップ」を訪ねると、あっさり部屋を確保できた。
実は前回来た時は断られたから、今回もダメ元だったんだけど。
 
部屋に着いて時計を見ると、時刻は16:40。
出発してから、およそ10時間も歩き続けていたようだ。
所要時間でいえば、本日が最長記録。
 
頑張ったーーー!
 
夕食時。これが、私がこの宿に泊まりたかった理由。
 

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うどんー!
(あと味噌汁もある!)
 
日本で食べるのとは違う味だけど、こんなところで日本食が食べられるなんて感激。
今までの苦労が報われるような、そんな気持ち。
 
この宿のオーナーが日本に精通している人らしく、日本に行く度に日本食を覚えてくるのだとか。
ダルバートのおかずにも醤油が使われていて、美味しいらしい。
 
今日は目標のナムチェまで何とかたどり着くことができた。
目当ての宿にも泊まって日本食も食べた。
途中へこたれそうになったりもしたけど、よい一日だったかな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ヒマラヤトレッキング19日目 全ての挑戦達成!そして下山へ(ゴーキョ↔ゴーキョ・ピーク→パンガ)

2017/10/22  ゴーキョ(Gokyo)4790m↔ゴーキョ・ピーク(Gokyo Ri)5360m→パンガ(Phangga)4480m
 
ゴーキョの夜は、とても寒かった。
寒くて寒くて、真夜中に何度も起きた。
 
このトレッキングで目標としていた3ヵ所のうち、最後の挑戦ゴーキョ・ピークに登る。
 
朝からヤクも寒そうだ。
 

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朝の湖は、また違った色合いを見せてくれる。
 

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片道2時間という事だけれど、私は一体何時間かかるだろう。
 

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登り始めるとすぐに、山と湖との美しい調和が望める。
 

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荷物もなく身軽だというのに、この登りはとても辛い。
標高差570mほどの傾斜を2時間ほどで登ろうというのだから。
 
一歩一歩、ゆっくりと歩みを進めるのだけど、全くゴールに着く気配がしない。
登り始めて2時間が経つのに、ゴールはまだ見えない。
 

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山の中腹からでも、景色は十分美しい。
もうここで十分じゃないかな。。。
 
もうやめたい。
そんな気持ちでいっぱいになる。
 
だって、全く先が見えないんだもの。
 
もしも今、「もう十分頑張ったんだから、ここでやめてもいいんだよ」と耳元で囁いてくれる人がいたならば、私は迷いなく下山する。
だけどそんな素敵な人が傍にいるはずもなく、今私の傍にいるのは「私」だけ。
私の中の私が「つべこべ言わずに登れ!」と命ずるもんだから、従うより他に道はない。
 
男の人でさえ、辛そうにゆっくりと登っている。
 
このトレッキングを通じて感じたのは、自分の「筋力の弱さ」。
脚の筋力が弱すぎて、しっかりと大地を踏みしめて歩くことができない。
日頃の運動不足のつけがこんなところで露呈するとは。
 
登り始めて3時間後、ようやく頂上らしきものが見えてくる。
 

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あれが頂上という事でいいんだよね。
違ったら、、、もう帰るよ。
 
登り切ると、オランダ人親子とクマルとポーターがいた。
私も彼らに並んで座る。
マーク(オランダ人父)が、よく頑張ったねと頭を撫ぜてくれる。
 
氷河湖と氷河の通り道と雪山と。
その調和が美しい。
 

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氷河の向こう側には、カラ・パタールぶりのエベレストが。
カラ・パタールの時ほど眼前に迫る感じはないものの、やはりその存在感には圧倒される。
 
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カラ・パタール(5550m)エベレストベースキャンプ(5364m)ゴーキョ・ピーク(5360m)と。
 
無理を承知で目標に掲げていた三冠を、見事に達成できた。
無理じゃなかった。無理じゃなかったよ...!
 

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名残惜しさを感じながら、ゆっくりと下山をする。
 
もうあの姿を直接見る事はできないのかと思うと、下山中の足が止まってしまう。
 
もう絶対に、二度とここへは来ない。
例え誰に誘われたって、絶対に。
 
だけど、人生のうちでたった一度、ここへ来て本当によかったと心から思う。
 
1時間ほどで麓に着いた。
 
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私はこの町にもう1泊滞在をして、明日の朝下山を開始する予定でいた。
 
だけどゴーキョの夜は私にはとても辛く、そしてコンタクトレンズの残数がギリギリ(残り6日分)しかない事に気づいた。
疲労困憊でもう全く動きたくはないのだけど、下れるところまで下る事にした。
 
オランダ人親子たちは、明日の朝レンジョパスという峠を通って3日かけてナムチェへ下るらしい。
私もクマルに何度か誘われていて、検討もしていた。
だけど私はここで完全燃焼。十分満足したし、これ以上は流石に頑張れない。
だから、素直に真っすぐ下山するルートを通る事にした。
 
明日から3日かけてナムチェへ向かう彼等、今日から2日かけてナムチェへ向かう私。
ここまで縁のあった彼らとも、もう交わる事はないだろうな。
 
いや、またあっさり出会う事もあるかもしれないけど。
 
最後に挨拶をしていきたかったのだけど、どこにいるかわからず断念。
散々お世話になったクマルにも、お礼を言いたかったのに。
 
昼食を食べて、1時頃に出発。
湖沿いの道を真っすぐ歩く。
 

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すぐに、2つ目の湖に通りかかる。
 

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そして3つ目の湖に通りかかった頃には、霧がかかっていた。
 

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霧の中を、ひたすらに歩く。
 

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先が見えないというのは、なんだか不安。
そしてまだ15時にもなっていないというのに、まるで夕方の様に暗いから焦る。
 

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宿を出て2時間霧の中の一本道を歩き続け、緩やか~な登りの先に町が見えた。
あれがゴーキョの隣町「パンガ」かな。
 
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少し霧が晴れ、目の前に壮大な山が姿を現す。
この小さな町が、「パンガ」の様だ。
 

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次の町「マッツェルモ」まで行けたらいいな~と思っていたけど、もう十分頑張ったから今日はここで終わり!
 
時刻は15:30。所要時間は2時間30分ほど。
 
久しぶりに小さな町に泊まった。
最近はトレッカーがダイニングに数十名も集まるような賑やかな所ばかりだった。
こういう静かで素朴な雰囲気の方がほっとする。
 
宿には私のほかに、カップルと1人客の計4人。
カップルはイチャイチャしているし、1人客の男性は難しい顔をしてタブレットを見ている。
だから特にトレッカー同士の触れ合いがあるわけではないのだけど。
 
ダイニングは既に暖かい。
奥さんが、頻繁にストーブに燃料を足してくれる。
燃料は、ヤクの糞を乾燥させたものだ。
たった4人の宿泊客の為に、そんなに消費しちゃってよいのか不安になる。
他の宿は、もっと遅い時間から火を焚いていたよ...。
 
まだ標高4000m台のこの町も、火から離れるととても寒い。
早く暖かいところに下りたいな。。。
 
 
 
 
 
 

ヒマラヤトレッキング18日目 美しい氷河湖畔の町(タンナ→ゴーキョ)

2017/10/21  タンナ(Thangnak)4700m→ゴーキョ(Gokyo)4790m
 
今日はのんびり8:00に出発。
 
少し歩いて後ろを振り返る。
あの山の向こうへは、もう二度と戻らない。
 

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私の進む道は開けた大地。
今日はずっとこの調子だといいな~。
 

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...という希望はもちろん通らず、いつの間にか崖の上に来ていた。
どうやら、ここを下るようだ。
 

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皆、ここで休憩をしている。
一人一人、少しずつ下っていく。
 
私も、3人ほど見送ってから下ってみる。
滑りやすい、砂の下り道。

 

中腹まで下ったところで、横道に変わった。

この調子で、ゆ~っくり下っていくようだ。
 
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綺麗な青色と、汚い茶色の湖のアンバランスさ。
時折、土壁が音を立てて崩れていく。だから茶色なんだね。
 

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砂利と岩の世界を進む。
ここは、氷河の通り道。
 

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冬にはこの辺一帯が氷河に覆われるのだろうか。
絶対に来ないけど、見てみたいなと思う。
 
まさか、あの茶色い山を登るわけではないよね。。。
いや~でも道みたいな筋が見える。
 

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うん、そのまさかだった。
 

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よしっ、もうひと踏ん張りだ。
 
今日も、道のり自体は決して簡単ではない。
けれど、なんだか気分は爽やかだ。
 
長い間何重にも着込んでいた鎧を一枚、昨日の日に置いてきたような感じ。
 
 
登っていると、綺麗な色の湖が見えてきた。
ゴーキョは湖畔の町。
まさか、この丘を越えたらゴーキョなのかな...?
 

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そのまさかだった!
 
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広大な氷河湖
写真には収まりきらない。
 
そして、町の向こう側の茶色い山がゴーキョピークだ。
 
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町へ入ると、さっそくクマルに出会った。
 
クマルたちの宿に行ってみるも、ツインルームを2人でシェアとのこと。
シェアか~。できればプライベートルームがいいな~。
 
一旦保留にして2件目を訪ねるも、こちらもシェアとのこと。
この町のスタイルなのかな?
 
3件目を探そうと思ったら、クマルが手招きをしているのが見えたので行ってみる。
 
なんとクマルが交渉してくれて、1人で1部屋使ってよいことになっていた。
クマルさまっ!!!!
 
「オーシャンフロント」ならぬ「レイクフロント」がいいな~と思っていたのだけど、1人で贅沢は言えないね。
これは、「パーシャルレイクビュー」とでも言うのだろうか。
 

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実はまだ午前中。
本日のトレッキング時間は3時間半ほど。
 
ランチを食べて、レイクサイドを一周してみる事にした。
 
太陽の光に照らされて、水面がキラキラと輝いている。
 

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私がゴーキョに来た一番の理由は、ゴーキョピークから山脈を眺めるためではない。
とても美しい氷河湖畔の町だと聞いていたから。
 
私は水場の中で、湖が一番好き。(二番は海)
滝や川などの流れのあるものよりも、しっとりと佇む水面を眺めるのがたまらなく好き。
 
標高4790mの高地に、こんなに美しい湖があるなんてね。
 

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こんな岩場の道だって、荷物がなければ楽しめる。
 

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みんなゴーキョピークにしか興味がないのか、誰にも出会わない。
 
町の対岸で、思わず歌いだしてしまう。
こんな異国の大地の中で、人目を憚らずに。
気持ちよすぎっ...!(どうか誰も来ませんように)
 

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ずっと湖沿いというわけにはいかず、山道に入ったりもする。
 
山を下った先は、ビーチの様になっている。
 

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今まで誰にも出会わなかったのに、ここでオランダ人親子に出会う。
彼らはゴーキョピークに行ったはずなのだけど...曇ってたからやめたって。
 
それにしてもね、誰にも出会わないこんなところで唯一出会ったのが彼等だなんて。
つくづく縁があるな~と思う。
 
私が去った後も、彼らはビーチ沿いでのんびりと過ごしていた。
男女だったら恋人同士にも見えるんじゃないかな。
食事の時も、いつも一口交換したりしている。
本当に、仲睦まじい親子。微笑ましすぎる。
このヒマラヤの大地で、素晴らしい思い出を作ってほしいな。
 
今日は、本当に心穏やかな日。
 
この町には2泊する予定。
明日はゴーキョピークに行ってみよう。
 
 

 

 

ヒマラヤトレッキング17日目 標高5420mの峠越えの果てに得たもの(ゾンラ→チョラ・パス→タンナ)

2017/10/20  ゾンラ(Dzongla)4830m→チョラ・パス(Cho La Pass)5420m→タンナ(Thangnak)4700m
 
陽が出る前のこの土地の朝は、凍える様な寒さ。
冷水で顔を洗い、歯を磨く。
冷えた手で、フェイスクリームと日焼け止めクリームを塗る。
荷造りを済ますものの、かじかんだ手ではバックパックのチャックを閉めることができない。
 
ダイニングに避難するものの、こちらも寒く息は白い。
ホットティーを握りしめて手を温め、ゆっくりと身体に流し込む。
 
本日は、チョラ・パス(5420m)越えの日。
 
本日の峠越えの所要時間は7時間ほどだとクマルが言っていた。
私のペースなら10時間くらいかかりそうだなと、皆より早めの6時台に宿を出る。
 
標高5420mといえば、このトレッキング中2番目の標高。
それも荷物を持っての峠越えになるのだから、最も過酷な日になるだろう。
 
歩き始めると、ちょうど太陽が出てくるところだった。
陽の光に照らされる山並みの、なんと美しいことか...。
 

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まだ、過酷な道は現れない。
 

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しばらく歩いては振り返り、その美しさに勇気をもらう。
 

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これから急な山道だなと思う頃、オランダ人親子とクマル(ガイド)とポーター(名前不明)が私に追いつく。
クマルが、なんと私と荷物を交換してくれるという。
私の荷物は、多分15キロくらい。クマルの荷物は7キロだという。
 
今までも、「荷物を持ってあげるよ」と手を差し伸べてくれる人にたくさん出会った。
大変ありがたいなと、気持ちだけ受け取ってきた。
 
だけど、「交換」なら甘えてもいいのかな。。。
 
迷ったけど、これからの過酷な峠越えに備えてクマルに甘える事にした。
 
クマルは、荷物を交換すれば私も彼らのペースで一緒に登れると思ったのかもしれない。
だけど私は相変わらずのスローペースで、どんどん距離が離れていく。
 

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クマルのリュックは、私の身体にはフィットしなかった。
エストベルトを限界まで締めてもゆるいから、7キロの重みの全てを肩で受け止める事になる。
これはこれで辛い...。
ダウンジャケットとフリースを脱いで腰に巻き付け、その上からウエストベルトを締めてみた。
うん、これならいけそう。歩いているとズレてくるから、何度も調整が必要だけど。
 
それにしても、一体どこまで登り続けるんだろうな...。
人の流れを見ていると、どうやら右のほうに登っていくみたいだ。
 

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右へ登る道は、大岩の道だった。「道」と呼んでよいものかも謎だけど。
 

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いや~これは厳しいよ。。。
 
こういうの、下界でアドベンチャーとして体験するなら凄く面白いんだろうな。
こんな高地で、重い荷物を背負いながら体験しても、何も面白くないからね。
 
腕の力も使ってよじ登る。
登れずに戸惑う場面では、近くにいる男性トレッカーが私を引っ張り上げてくれる。
そんな何人もの紳士なトレッカーの力を借りながら、なんとか大岩ゾーンを抜ける。
 
昨日「美しい」と思った湖が、あんな遠くに。
 

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これからは、中岩・小岩ゾーンの様だ。
 

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岩ゾーンが終ると、対岸に巨大な雪の塊が見えてくる。
どうやら、私もあちらへ渡るようだ。
 

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雪道を抜けてね。
 

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ここを渡って向こう側に行かねばいけないのだけど...私の靴は冬用ではない。
絶対滑るよね~。滑って転んで頭打つよね~。
 

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...と思ったけど、全く滑らないサクサクの雪だった。
うん、そういえば雪にも色々あるよね。
 
ここからは、雪原ゾーンに入る。
茶色い土混じりの、あまり綺麗とは言えない「白い世界」。
どうせなら、辺り一面に広がる美しい「銀世界」の中を歩きたかったな~なんて、贅沢な事を考えてしまう。
 

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白い世界はどこまでも続いていて、果てがあるのかないのかわからない。
たくさんいたトレッカーも視界から消え、この白い世界に私はひとりきり。
クマルに預けた私の荷物には、「予備の水」と「万が一の為のアルミシート(包まって暖を取るもの)」が入っている。
今一人で遭難したり、日没までに辿り着かなかったら...どうなるんだろ。
 
そんな不安に駆られながら、ひたすら前へ進んでいく。
 
すると対面から現れたネパール人に、「日本人か?」と聞かれる。
「一人か」と聞かれ、「一人だ」と答える。
こういうコミュニケーションは、いつもの事。
 
しかし彼が、「ネパリのバゲッヂがうんたらかんたら」と言い出す。
「ネパール人と荷物を交換した。これはネパール人の荷物だ」と説明してみる。
そうしたら、「そうかそうか」とミネラルウォーターをくれた。
これは...恐らくクマルが彼に託したんだ。
「一人で歩いている日本人に渡してくれ」と。
思いがけず、私の予備の水が戻ってきた。
 
彼が「あそこがトップだよ」と指さした先に、人影が見えた。
まだまだ遠そうだけど...それでも皆のはしゃぎ声が聞こえるくらいの距離。
 

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近づいてみると、「これはどうやって登るのか」と思うような場所だった。
山頂から、見知らぬ人に手招きをされるのだけど...いや、だからどうやって。笑
 
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よく見てみると、雪原の終わりの壁を滑り降り、この岩壁を左側から登っていくようだ。
その様子をのんきに写真に収めようと思っていたら、なんと手招きの彼が私を迎えに来てしまった。
 
そして、私の(正確にはクマルの)リュックを代わりに持ってくれるという。
いやいや、申し訳ないです...と思ったのだけど、なんとなく彼を頼ってしまった。
 
「ここを10分ほど登ったら頂上だよ」と言われる。
 
10分...彼はせっかく頂上まで行ったのに、私の為にもう一度急な壁を10分間も登らなければならない。
意味がわかない。友達でもない、名前も知らない関係なのに。
 
頂上に着き、彼はクマルのバッグを私に戻してさらっと去っていった。
 
いやいや、そこは恩着せがましくするところでしょう...?
 
彼を含め、これまでの道のりで出会った様々な「親切」がフラッシュバックしてきて、涙が出そうになる。
こんなところで泣いたら恥ずかしいよ。一人ぼっちのジャパニーズ女が。
 
それなのに、峠の向こう側の景色が美しすぎて、涙があふれてしまった。
 

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これくらいの景色は今まで何度も見てきたし、「美しさ」で言えば一昨日に見たエベレストに勝るものはない。
 
だけど、今の私には刺激が強すぎる。
ひと気のない岩陰で、ひとりシクシクと泣いてしまう。
 
私は今日、たくさんの人の親切に支えられながらここまで来た。
自分ひとりの力では、絶対に辿り着かなかっただろうと思う。
 
「誰にも頼らず、ひとりの力で乗り越える事」
 
それが強さだと思っていた。
 
ディネスと別れて、一人旅が再開された。
この先の旅路は、ひとりで乗り越えよう。
それでこそ、「達成感」が得られるんじゃないか。
 
ディネスと別れて「前向きさ」を取り戻した私は、「強い人」になる事に躍起になっていた。
 
だけど、「強さ」の意味をはき違えていたのかもしれない。
 
差し伸べられたその手を取る事は、「弱い」事ではないのかもしれない。
その事に対して「感謝」の気持ちさえ忘れなければ。
 
「強さ」ってなんだろう。
 
強いだけではだめで、「優しさ」も兼ね備えた人になる必要があるんじゃないかな。
 
こんな標高で泣いたから、頭がとても痛い。
 
...いや、その前に!右目のコンタクトレンズが消えた!
コンタクトレンズしながら泣いたらダメだよ~。
目の奥に異物感を感じるから、もしかしたら目のどこかに潜んでいるかもしれない。
だけどこうなったら、数時間は戻ってこない。
替えのレンズはクマルが持っている。
眼鏡はあるけど、サングラスを外すのは今後の目の健康の為に避けたい。
 
突然のトラブルで涙なんかふっとんだ私は、とりあえずこの状況で下山してみる事にした。
 
下山は、岩場の間を行く道。
 
私は、目の病気で常人より少しばかり「視野」が狭い。
そして裸眼の「視力」は、かなり低い。
 
「視野が狭い左目」と「視力がほぼない状態の右目」。
 
無理だよね。歩き出してすぐに豪快に転んでしまう。
だって、岩との距離間がまるでつかめないんだもの。
 
転んだ私を助け上げてくれたシェルパのおじちゃんが、一番下まで荷物を持ってくれるという。
たぶん...昨日までの私なら気持ちだけ受け取って断っていた。
だけど、たった今山頂で心変わりしたばかりの私は、彼の親切を素直に受け取る事にした。
 
いつも使っている「Thank you」に「very much」を付け足す事くらいでしか感謝の気持ちを表せない私の英語力が悲しい。
一体どうしたら、この気持ちが伝わるだろうか。
 
おじちゃんは、私の視界にトラブルが発生している事など知る由もないだろう。
ただただ、荷物が重くて大変そうなジャパニーズを手伝ってくれているだけなのだ。
彼だって、リュックサックと大きなボストンバッグを持っているというのに。
 
もうやめてー。涙腺緩んでいるんだからー。
 
荷物が軽くなったって早く歩けるはずもない私の歩調を咎める事もなく、
途中で適度に休憩を取りつつ、私を励ましながら下っていくおじちゃん。
 
どれくらいの時間が経ったかわからない。
一番下に着いた時、「タンナはあっちだよ」と指さして、さらっと私と別れようとする。
 
だからさ~、そこは見返りを求めるところでしょう...?
 
少し逡巡した末、シェルパのおじちゃんに500ルピー(500円)を渡すことにした。
気持ちは1000ルピー(1000円)くらい渡したかったのだけど、それは彼が恐縮するかなと思って。
 
そのわずか500ルピーさえも、遠慮して受け取らないおじちゃん。
握手をする素振りを見せて(いや、実際にしたのだけど)、その手に渡す。
おじちゃんはハニカミながら、「ありがとう」と。
 
真っすぐな道を、ひたすら歩く。
 

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私は、見ず知らずの人に対して、無償で力を貸すことがあるだろうか。
いや、私は絶対にそんな人間ではない。
 
今までに受けた「恩」を、どう返したらいいのか考えてみる。
だけど、私にできる事は何もないように思える。
私は無力なのだと、思い知る。
「力」がなければ、人は救えない。
 
そんな事を悶々と考えながら歩いていると、追いついて来たトレッカーに頭を撫ぜられる。
何故...??笑
 
その彼の後ろに続いて、シェルパのおじちゃんがいた。
 
おじちゃん、彼のポーターだったんだね。
既に誰かに雇われているポーターなのに、更に私に手を貸してくれたんだね。
 
本当に、ありがとう。
 

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丘の上に、チョラパス行きの標識が建っていた。
私は、はるばるあの峠を越えて来たのだ。
 

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私の行く先は、おそらくとても美しいのだろうと思う。
今の視界ではその一部しか捉える事ができないのが、とても残念。
 

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永遠と続く下りの道が、いつしか岩場になっていた。
 
私の心が、次第に曇っていく。
「重い」「見えない」「一体いつ着くの」...。
 
たぶん、「見えない」が一番辛い。
何度も足を取られて転ぶ。
 
見えない、見えない、見えない...と、どこぞのムスカの様に呟きながら歩く。
 
そして、はっと我に返る。
 
私は、この峠越えで一体何を学んだのか。
これじゃあ何も成長できていない。
 
「これしか見えない」と思うのか、「まだこれだけ見える」と思うのかは自分次第。
 
そう思った途端、私の視界に可愛らしい鳥の姿が入ってくる。
ほらね。見ようと思えば、あんなに小さい鳥だって発見する事ができたよ。
 

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鳥撮りに夢中になっていると、前方からクマルとポーターがやってきた。
 
なんと迎えに来てくれたのだ...!
 
他にトレッカーの姿も地元民の姿も見えなくて心細かったところ。
それに、どうやってクマルと合流したらいいのかもわからず不安だった。
 
クマルが、あれはヒマラヤの鳥だよと教えてくれた。
 
私が背負っていた荷物をクマルに返すと、中からパンを取り出して私にくれる。
「お腹、すいているでしょう」と。
クマルはすいていないのかと聞いたら、タンナでランチを食べたから大丈夫だと。
遠慮なく、残さず食べた。
 
さて行こうかと、クマルは自分の荷物を背負う。
ポーターの彼は、私のサブバックを持ってくれようとする。
いやいやいや!これは流石に、とても軽いものだから大丈夫...!
でもありがとう。
 
タンナへは、ここから40分ほどだという。
40分もかけて、私を迎えにきてくれたんだね。
 
15:20頃、タンナへ到着。
ほぼ休みなく、8時間半ほど歩いていた様だ。
 
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チョラ・パスは、ゴーキョへ向かうために仕方なく越えることにした峠。
できれば越えたくなかったし、そうまでしてゴーキョに行かなくてもいいんじゃないかとすら思っていた。
 
だけどゴーキョへ行かずして、私はこの峠で大切なものを得たような気がする。
その「大切なもの」が何なのかは、うまく言葉では表現できないのだけど。
 
今日の日に感じた事を、絶対に忘れないようにしよう。
 
 
 
 
 

ヒマラヤトレッキング16日目 私のゆく道と最も身の危険を感じた日(ロブチェ→ゾンラ)

2017/10/19  ロブチェ(Lobuche)4910m→ゾンラ(Dzongla)4830m
 
今日の私の選択肢は二つ。
 
1つ目は、元来た道を帰る道。
2つ目は、西へ峠を越えてゴーキョという町を目指す道。
 
昨日、このトレッキングのハイライトを見終えた私。
もう日本に帰ってもいいんじゃないかと思えるくらいの、達成感と満足感を得た。
 
だから1つ目の道を選んでもいいんじゃないかなと。
 
西へ向かう場合、標高5420mのチョラパスという峠を越えなければいけない。
 
このトレッキングで私が体験するであろう標高の中では、カラ・パタール(標高5550m)に次ぐ。
エベレストベースキャンプ(標高5364m)よりも、ゴーキョから目指す山ゴーキョピーク(標高5360m)よりも高い。
 
カラ・パタールへは、麓の町ゴラクシェプに荷物を預けて向かったから、
大荷物を背負って越えるチョラパスは、もしかしたらこのトレッキング中で最も過酷な旅路になるかもしれない。
 
ガイドブックには「途中のゴジュンバ氷河にはクレバスなど危険な場所もあるので、必ずガイドを同行すること」とも書いてある。
 
そこまで無理して行くほどの場所なのかな。
あんなに間近で素晴らしいエベレストを見てしまったし。
 
答えが出ないので、迷った時の私の行動指針に従う事にした。
(本当は、もっと深刻な悩みのための行動指針なのだけど...笑)
 
「A」か「B」かで迷ったら、成り行きに任せる。(神様の導くままに...!)
「やる」か「やらない」かで迷ったら...「やる!」
 
うん...行こうか、峠の向こう側へ。
 
「無理して行くほどの場所でもなかったな」と思ったとしても、それを実体験として感じることが大切。
 
エベレストベースキャンプだって、正直ガッカリはしたけれど、「行かなきゃよかった」とは思わなかったもの。
「そういう場所だった」と感じる事ができただけで、「行ってよかった」と思ったもの。
 
それに私は、「私の事を心配してくれている(...かもしれない)」と思う人に対しては保険を張っていた。
「一ヶ月間は音信不通でも心配しないで」と。
だから万が一私の身に何かが起こっても、一ヶ月以上音信不通の場合は「無言の知らせ」として察してもらえるはず。
(もちろん生還するつもりだけれど。「万が一」ね。)
 
 
ロブチェの宿を出て、まずは来た道を戻る。
出発後20分程度で、チョラパスへの道しるべが現れた。
 

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ここを曲がれば、私の旅はまだ少し続く事になる。
 
山道を途中まで登ったところで、ふと疑問が浮かぶ
 

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戻り道「トゥクラ」へは、向こう側の丘を歩く。
ゴーキョへの峠越えの前に泊まる町「ゾンラ」は、ロブチェより80m程度標高の低い町。
 
このまま登っていってから下るのか。
それとも眼下に見える谷沿いの道を、緩やか~に下っていくのか。
 
え~、さっそく迷子??
 
谷の下からこちら側へ歩いてくる人影を見つけたので、待ってみる。
待つこと10分、彼はまだ来ないけど対面から地元民が来た。
 
聞いてみたら、この道で合っていた。
 
よかった~!...のか??
 
だって、この道かなり危険だと思うんだけど。
片足づつ乗せるので精一杯な、心もとない細~い足場。
左手は、急な斜面。
 
怖すぎる...。
 

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恐る恐る進んでいくと、目の前を大きな岩に塞がれる。
滑り台の様な、綺麗な傾斜の一枚岩。
こんな状況で、土のない場所に足を乗せるなんて怖すぎてできない。
ストックを外して、両手を使って這いつくばって登ろうとするんだけど...。
いや~、これは少し失敗しただけで谷底に真っ逆さまだよ~。
怖いよ~。
 
と思っていたら、対面から現れた男性が私を引っ張り上げてくれた。
 
神様っ...!!!!
 
大変なのは明日の峠越えで、今日は簡単な道のりだと思っていたのに。
こんなに危険な道のりと知っていたら、恐らく私は選ばなかった。
命をかけてまで挑みたい挑戦ではないもん。
 
もう後戻りはできない私は、先へ進む。
(進むのも恐怖だけど、戻るのも恐怖)
 
すると、今度は犬に行く手を阻まれる。
犬は私が通り過ぎるのを待っているようだ。
だけど彼とすれ違うためには、私が谷側を通らなければいけない。
「ねぇドッグ!私はそこの道を通りたいんだよ!」と日本語で話しかけてみる。
何故か思いが通じ、犬が私の脇をすり抜けて先にすれ違ってくれた。
 
何人かのトレッカーとすれ違うとき、私は先手を打って山側で待機。
自分勝手かもしれないけれど、彼らには谷側を通ってすれ違ってもらう。
(だって荷物の量と性別のハンディがあるしね!)
 
すれ違う時に挨拶を交わしたトレッカーに、「ジリで会ったよね!?」と言われる。
出発の町ジリで会った男性2人組といえば...あの足の長いフランス人か!
なんと15日ぶりにこんなところで再会できるとは。
 
なんだか嬉しい気分で先に進むと、少し道幅が広くなった。
谷側の傾斜もゆるやかだから、足を踏み外しても大丈夫そうだ。
 

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...と思ったのもつかぬ間、また危険な道になる。
(本当に危険なところは写真を撮る余裕もないので、記録に残せないのが残念)
 
長々と危険な道を歩んできた私は、慣れてしまったのか恐怖心がなくなっていた。
「いやいや、慣れちゃダメだろ!油断禁物だよ!」
と自分を戒めた瞬間、急に恐怖心が戻ってきた。
う~ん、過剰な恐怖心も危険な気がするんだけど。難しい。
 
こんな危険な道のり、もっと若い頃なら楽しめたんだろうな。
ものすごくワクワクしたんだろうな。
歳を取るとは、こういう事か。
 
宿を出て1時間半後、ようやく開けた場所に来た。
トレッカーが石投げをして遊んでいるほど余裕な場所。
 
そして、私の進行方向は素晴らしい景観。
 
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この広場を抜けるとまた細い道になるのだけど、山の麓の湖に魅せられてしまう。
こんなに素晴らしいご褒美があるなら、ここへ来た甲斐もあるんじゃないかな。
 

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しかし、いつまで続くんだろうか。。。
 
冬季は峠が封鎖されて、ゾンラの宿も閉まるらしい。
そうだよね、ここに雪が少しあるなんて状況、考えただけでもゾッとする。
雨で少しぬかるんでいるだけで無理だと思うもの。
 
私が谷底に落ちても、誰にも発見されないんだろうな。
そんなときの為にウエストポーチに忍ばせてある笛に頼るしかない。
あぁ、だから単独行動の人がいないのか。
あと1人でもいれば、もう1人が助けを呼びに行けるものね。
私...なんか無謀なことをしているんじゃないかな。
 

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10:10、遠くに町が見えてきた。
あれがゾンラだろうか。(いや、そうに違いない!)
 

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まだまだ遠い道のりだけど、目標が見えているのと見えていないのでは気分が違う。
なかなか近づかないな~と思いながらも、目標を見据えて慎重に進んでゆく。
 
そして、ようやく安全な道に出る。
あの丘に登れば、本日のゴール。
ここからが長そうなんだけどね。
 

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予想通り、安全な道に出てから50分もかけてゾンラに到着。
 
11:40、本日のコースタイムは3時間45分。
 

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1件目の宿は、まさかの満室。
この町でもそんな現象が起こるなんて...!
 
2件目の前を通りかかると、客なのかスタッフなのかわからない人に「空いてるよ~600ルピー(約600円)だよ~」と言われ素通り。
だって今までより高いんだもの。
 
3件目の宿に尋ねると、空いているとの事。値段は600ルピー。あ、この町の相場だったんだね。
 
最近の私は、紅茶をポットでもらってダイニングでくつろぐ事に快適さを感じている。
部屋は寒いし、電気を付けても薄暗いから。
個室は寝るための場所&荷物置きと思っている。
 

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ランチに、昨日K君にお勧めしてもらったシェルパシチューを食べる。
とても優しい味で、米やマカロニや野菜など色々な栄養素が入り混じっている。
昨日は焼いた鶏肉を入れてもらった。
今日はマカロニが入っていない代わりに、麺を細かく切ったものとお餅の様なものが入っていた。
 

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そして、「この町でなら私、脱げそう...!」と思った。
標高は4830mと決して低くはないのだけど、寒くはなく、今はお昼時だから髪の自然乾燥の時間も充分。
 
トイレで浴びるバケツシャワーで、それも700ルピー(700円)もする高級なお湯。
 
だけど、身体はともかく髪の毛が非常にゴワゴワしているのが気になる。
恐らく、目に見えない砂埃などが溜まっているんだと思う。
 
高級バケツシャワーを浴びる事にした。
 
脱ぐには脱げたんだけどね...お湯をかぶった後の冷え具合が想像以上だった。
髪の毛だけ洗って、身体は洗わない事にした。
身体を洗っている間の寒さに、耐えられる自信がない。
 
最後に残ったお湯を豪快に浴びて、速攻で服を着る。
これはシャワーというよりは「湯浴び」だな。
 
だけど、とてもスッキリした気分。
なんたって、ナムチェ以降7日ぶりのシャワーだもの。(←不潔って言わないでっ!)
こんなに長期間シャワーを浴びない経験って、後にも先にも今回だけなんじゃないかな。
(K君は、最後に浴びたのはカトマンズと言っていた。ツワモノ...!)
 
ダイニングに戻ると、なんとオランダ人親子とガイドのクマルがいた。
シャワーと同じで、ナムチェ以降7日ぶりの再会!
彼らは、K君が向かうと言っていた「チュクンリ」に行ってからカラ・パタールを目指したらしい。
私が知らなかっただけで、チュクンリって結構有名なのかな...?
 
だけどチュクンリに寄っているにも関わらず私とここで再会できるなんて...ペースが違い過ぎて驚く。
 
明日はゴーキョまでは行かず、峠を越えた先の「タンナ」という町に宿泊するという。
所要時間、7時間。。。
えーーー!
彼らで7時間という事は...私は一体何時間かかるのか。
しかもゾンラ~タンナ間には他に町はない。
 
明日は、早起きをしよう...。
 
 
 
 
 

ヒマラヤトレッキング15日目 世界最高峰のエベレストが...(ゴラクシェプ↔カラ・パタール→ロブチェ)

2017/10/18  ゴラクシェプ(Gorakshep)5140m↔カラ・パタール(Kala Patthar)5550m→ロブチェ(Lobuche)4910m
 
私のダイニング泊仲間の日本人は、少し年下の青年K君。
 
K君と一緒にカラ・パタールに登ることになった。
「ダイニング泊になるほど多くの人がこの町にいるんですよ」と言われ、
確かにそうだなと早めの6:45頃に宿を出た。
 

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太陽はまだ世界の全てを照らしてはおらず、私たちは寒い寒い日影の中を歩く。
 

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あの丘の上がカラ・パタールかな、意外に低いななんて思いながら。
 
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振り替えると、ヌプツェの頂から神々しい光が!
なんじゃあれはー!
 

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...と思っていたら、太陽が出てきた。
あんなところから、なんと神々しいことか。
 

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隣に少しエベレストが見えてきているのも見過ごすほど、ヌプツェに夢中になる。
この時間に登らなければ見れなかった景色だ。
その瞬間ごとに違う顔を見せてくれるから、自然は本当に美しい。
 
先ほど見えていた丘はカラ・パタールの頂なんかではなく、その先にも長々と道が続いていた。
途中何度も「あれが頂きかも!?」に騙されながら、2時間後にようやく到着。
 
先に到着していたトレッカーたちが、平たんなスペースでくつろいでいた。
ここが終点か~!なんて思っていたら、K君はさらに岩を登っていく。
えー!ここ登るー!?と思うような、特に帰りが怖そうなところ。
私一人だったら、絶対に登っていない。
 
ここが標高5550m地点なんだね。この旅の、最高到達地点。
一応目標として目指してみてはいたものの、本当にここまで来られるなんて信じられない。
 
恐れていた高山病を発症する事もなく、とりわけ体調が悪くなる事もなく。
 
この場所は、写真の小さな画面には収まり切らないような360°の大パノラマ。
 
エベレスト以外の山々だって、負けていない。
 

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そして、なんといってもエベレスト。
これが、世界最高峰(標高8848m)の山だ。
 

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隣に並ぶヌプツェも負けじとカッコいいんだけど。
 
あぁ、私は世界最高峰の山をこんなに間近に見ている。
もう、すぐそこだよ。登ろうと思えば登り始める事だってできる距離だよ。
(ベースキャンプがあるくらいだからね)
 
道中出会った日本人のT子さんは、この景色を見られたのだろうか。
あるいは、これから見るのだろうか。
72歳の彼女は、結果がどうあれこれが最後の挑戦だと言っていた。
 
どうか彼女もここへ到達できますようにと思った。
出会ったばかりの人間に、ここまで想いを寄せるのも珍しいのだけど。
 
だけど結果がどうあれ、彼女の最後の挑戦が素晴らしい旅であったらいいな。
 
 
私はというと、とてつもない達成感で満たされていた。
こんな気持ちになるなんて、想像もしていなかった。
 
思えば私のこの旅は、「インド旅行」だ。
インドへ行くなら、隣国のネパールも行こうかな。
ネパールに行くなら、トレッキングでも行こうかな。
 
本気で挑んでいる人には怒られるかもしれないけれど、そんな軽い動機で始めたこのトレッキング。
 
それが、いつしか「私の旅のメインイベント」の様な感覚になっていった。
下山した後にインドへ行くなんて、今は全く実感などない。
 
ここカラ・パタールに到達した今、その思いはさらに強まった。
 
もうインドへは行かずに帰国してもいいんじゃないかなと思えるくらいの、達成感。
私は、ここに来る為に日本を出てきたんじゃないかなと。
 
それくらい達成感に満たされ、そして世界最高峰のエベレストが想像以上に素晴らしかった。
 

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1時間くらい滞在したのち、後ろ髪を引かれる思いで下山。
 
だんだんと、エベレストがヌプツェの陰に隠れていく。
だけど下山するにつれて、エベレストの大きさを実感する。
大きい...大きすぎるよエベレスト。
 

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そして、あの山に挑戦する者たちの頭の中は一体どうなっているのかと思う。
思いついたら即行動してしまう足軽女な私でさえ、あれに挑戦しようなどと思う事は生涯一度もないだろう。
 
 
私は知らずに泊まっていたのだけど、この「ヒマラヤンロッヂ」は映画『神々の山嶺のロケ地だったみたい。
ダイニングには、出演者のサインも飾られていた。
 
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私は知らぬ間に、大好きな岡田君と同じ宿に泊まっていたんだ。同じ空気を吸っていたんだ。
年下の男の子を前に、ミーハー的に喜んでしまう。
(K君は、それを知っていたからこの宿にしたみたい。)
 
この作品は、原作の小説と漫画版もあるみたい。
K君は漫画を読んでいたから、予備知識が豊富。
「エベレストは、あそこから登ってこう回ってこっちから山頂に行くんですよ~」なんて教えてくれたり。
帰ったら、絶対に映画を見て小説か漫画を読もう。
というか、来る前に見ておくんだったな。大失敗...!
 
カラ・パタールという一大メインイベントを終えてしまった私たち。
なんだか急激に疲労感に襲われる。もう一泊していきたいくらいだ。
 
だけど、先に進まなくてはね。
 
本来私はこの後、峠を越えて西にあるゴーキョに行く予定だった。
だけどこんなに美しい景色と絶大な達成感を感じてしまうとね...もういいんじゃないかと思えてくる。
 
K君は、「チュクン・リ」という何ともマイナーな所に行く予定。
カラ・パタールと同じ標高の5550mで、エベレストは見えないけれどその他の山々がとても綺麗に見えるところらしい。
K君も、もういいかな~なんて言っていたけれど、やはり最終的には目指す事にした様だ。
 
私はとりあえず、2日前に泊まった町ロブチェまで下ろう。
 
2人とも、今日は来た道を戻るだけの日。
戻るだけなんて、モチベーションが上がらな過ぎて困る。
行きはね、どんなに辛くても「前に進んでいる」のだから気持ちでなんとかなるんだけど。
帰りはね~。戻るだけの為に辛い思いはしたくないよ。
 
重たい腰を上げて、12:00頃に宿を出る。
こんなに色々あったのにまだ12:00という事にも驚きだけど。笑
 
K君とは方向は一緒なのだけど、なんと私が4時間かけて来た道を1時間半で戻るという。
それは流石に私は足手まといになるので、遠慮せずに先に行ってもらう。
さようならK君!素晴らしい感動を一緒に共有できてよかったよ!
 

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そして私は、行きに4時間かかった道を2時間40分で戻った。
うん、上出来上出来。
K君は、先の町まで無事に行けたかな。
 
この町でもどうせダイニング泊だろうな~と思っていたら、なんと2件目で部屋を確保できた。
トイレも手洗い場も屋内にあって、清潔な宿。
 
物価は高すぎてびっくりだけど。
パソコンの充電を依頼したら1,000ルピー(1,000円)もかかった。
この旅で一番の贅沢かもしれない。
 
さて、明日はどちらの道を選ぼうか。
 
 
 
 
 

ヒマラヤトレッキング14日目 ひとつ、目標を達成した日(ロブチェ→ゴラクシェプ↔エベレストベースキャンプ)

2017/10/17  ロブチェ(Lobuche)4910m→ゴラクシェプ(Gorakshep)5140m↔エベレストベースキャンプ(Everest B.C.)5364m
 
朝、ダイニングで寝起きする人を見た。
そうか...!部屋がなければダイニングに泊まらせてもらえばいいんだね。
思いがけずよい知恵を得た。次の目的地ゴラクシェプでは、もしかしたらダイニング泊になるかもしれない。
 
朝7:00に出発。
 
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しばらくは、平たんな道をゆく。
ゴツゴツとした岩場の向こうには、美しい雪山が連なっている。
もう標高5000m地点にいるのだなと実感。
 

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1時間30分後、目の前に壁が立ちはだかる。
はぁぁ...あれを登るのか。
 

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この丘の中腹で、今来た道を振り返る。
 

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この先、いくつもの丘を乗り越えてゴラクシェプを目指すことになる。
本当に、いくつの丘を乗り越えたんだろう。数えるのも忘れるくらいのアップダウン。
 
景色の色が変わってきた。
氷河が砂利に埋もれて灰色になっているのかな。
 
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不思議な色の湖。氷河の影響でできた三日月湖の様なものなのかな。
 
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一人で歩いていると、たくさんの人に話しかけられる。
一人で歩いている事に驚かれたり、励まされたり。
 
うん、私は大丈夫。ありがとう。
 
だってね...。
 
出会った人に、ゴラクシェプまであとどれくらいか聞いてみたんだ。
そうしたら、「あと10分だよ」って。
 
最初に聞いた時は、あと2時間だと言われた。
その次に聞いた時は、あと1時間半だって。
 
そのコースタイムで本当に着くかどうかはどうでもよかった。
ただ、聞くたびに確実に近づいている。当たり前だけど。
それだけで、ただただ嬉しい。どんなに時間がかかっても。
 
あと10分だよと言われて体感5分ほどで、ゴラクシェプの町が見えてきた。
 

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宿を出て3時間45分後、ゴラクシェプに到着。
 
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さて、宿を探さねば...。
 
この町には宿が4件。
1件目、満室。2件目、満室。
・・・。
3件目、満室だがダイニングなら使ってよいと言われた。
こちらから交渉する前に!ありがたい!
4件目は見ずにここに決める。
 
奥のソファー席を陣取り、とりあえずランチを食べる。
そして、疲れ果てた私はソファーに横になってお昼寝。
だって、今日はここが私の寝床だもの。
 
1時間ほど仮眠したあと、今日はどうしようかと考える。
ここから行けるのは、エベレストベースキャンプ(標高5364m)とカラ・パタール(標高5550m)。
宿の人に聞いてみたら、どちらも3時間ほどだと言われる。(片道か往復か聞き忘れた...笑)
であれば標高の低い方から行こうと、エベレストベースキャンプを目指すことにした。
 
ゴラクシェプには、白い砂地が広がっている。
海の砂の様な、さらさらの白い砂。
 

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周りを見渡すと、既に素晴らしい山並みが広がっている。
 
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カラ・パタールへは、あの茶色い丘を登っていくらしい。
エベレストベースキャンプへは、丘を左手に直進。
 

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道中、おそらく初対面ではない雰囲気の人が話しかけてくれたりする。
私は一瞬話しただけの人の顔は覚えていないのだけど。
もしかしたら「単独トレッカーの女性日本人」として、私は少し目立っているのかもしれない。
宿で仮眠している時も、
「彼女は一人で重い荷物を背負って歩いているから、疲れて寝ているのよ」
みたいな説明を、隣の席の人が宿のスタッフに話しているのが聞こえたし。
「ハイ!クミ!」と、名前まで覚えてくれている人もいる。
 
たぶん、見た目ほどにはそんなに辛くないんだけどね。
だけど皆が温かい声掛けをしてくれるから、本当に元気が出る。
 
岩なのか道なのかよくわからない道を進むこと1時間半。
氷河が見えてきた。あの麓がエベレストベースキャンプだ。
 

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行き止まりに着いたら、氷河に向かって降りていく。
30分くらい下って登って、出発から2時間後にようやく着いた。
 
着いたところは...なんか思っていたのと違う。笑
 
たくさんの団体トレッカーたちがはしゃいでいる。
国旗や記念の旗などを持って写真撮影会にいそしんでいる。
 

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観光色が強すぎるわりには、素晴らしい景観というわけではなく。
 
もっとこうさ、「これからエベレスト登山に挑戦する者たち」に想いを馳せて、
静かに感慨深い気持ちになれるものだと思っていたよ。
 
そんな登山者たちの面影を微塵も感じないベースキャンプ。
登山シーズンは春だから、キャンプが設営されているわけでもないしね。
 
だけど、「目指す3つの目的地」の1つを達成したわけだ。
その事は本当に本当に、とても嬉しい。
 
エベレストベースキャンプ、達成だっ!!!!
 

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よし、太陽に見放される前に帰ろう。
暗闇で、この道を抜けるのは私には無理。
 

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帰りは1時間半ほどで着いた。
 
ダイニングでは、多くのトレッカーがくつろいでいる。
彼らが部屋に戻るまで、私は自分の荷物を開けることも横になる事もできない。
だってこの場所が、本日の私の寝床なのだから。
 
だけど、全く悲観はしていない。
ダイニングは夕食時に火が焚かれているから暖かいし、余熱でしばらくは暖かさが続く。
昨日ロブチェに泊まった時なんて、部屋に戻るのが本当に嫌だった。
 
トレッカーたちが部屋に戻っていった頃、私のほかにもう一人取り残されている男性がいた。
彼は部屋に戻るそぶりもなく、ソファーの上でストレッチなどしている。
 
絶対ダイニング泊仲間だよ!笑
 
...と思っていたら、スタッフが彼に出身を聞いた。
なんと「ジャパニーズ」だった。
 
スタッフが、彼女もジャパニーズだよと私を紹介する。
 
初めてのダイニング泊の仲間が日本人だなんて、なんと心強いことか。
 
トレッキング中に日本人と話をするのは彼で2人目。
もう一人は、72歳の素敵な女性だった。
 
少し彼と談笑をしたのち、21:00頃に就寝。